コラム Column

コロナの対応 その22 「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」

本日、下記の内容の詳細が厚生労働省から公開がされました。
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

上記の支援金・給付金は休業者が勤め先を通さずに申請ができる制度です。6月12日に参議院で第2次補正予算案が可決されて、既に、概要は発表されていました。

詳細の内容について、問い合わせやご相談が増えていました。7月7日に、加藤勝信厚生労働相が閣議後の記者会見で明らかにした後に詳細について公開されました。

7月10日から申請の受付を開始して月内の支給開始を目指すと報じられています。新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金が創設された背景には下記があります。

  • 雇用調整助成金が複雑で申請が大変であること

企業が雇用調整助成金は手続きが煩雑なため、申請を断念するケースが報告されています。私も6月12日に、神奈川労働局に申請をしてきました。

東京都は労働局ではなく基本的にはハローワークでの申請です。神奈川県では労働局での申請が可能です。私は、労働局の担当官と、直接、やりとりがしたかったのです。

現場の状況や知恵について伝えたいこともありました。何より、労働局の対応について、体感レベルで分かっておきたかったのです。

  • 二次情報ではなく、一次情報を
    掴んでおきたかったのです。

役所の方も制度を動かしながら手探りで対応しているのは明らかです。労働局の相談・申請対応には予約が必要です。当然、早めに労働局には着いています。

受付を済ませて順番を待っているとき、相談をしている他の企業の様子を視ていました。質問をしているレベル感や対応の様子。申請まで辿り着けそうにはない様な雰囲気でした。

もっとも、私の方も他人の会社の心配をしている余裕はありません。

そんな雇用調整助成金の対応の渦中に「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が出てきました。「支援金・給付金」について自ずと下記の素朴な疑問が出てきます。

  • 休業手当と「支援金・給付金」の関係

  • 雇用調整助成金と「支援金・給付金」の関係

会社は労働者を休業させるときに休業手当を支払うのではなく、支援金・給付金を申請して頂くことで労働基準法違反は免責されるのか否かという疑問です。

上記について、Q&Aが出されています。

  • 【⑥雇用調整助成金との関係1】
    事業所が全労働者を対象とした休業をしていますが。私には休業手当が支払われていません。
    一部の労働者には休業手当を支払い、 雇用調整助成金を活用しています。この場合、私は支援金・給付金を 受けられないのでしょうか。

 <回答>

  • 雇用されている事業所の雇用調整助成金の受給の有無にかかわらず、休業手当が支払われていない労働者は支援金・給付金の支給対象となります。

  • 【⑥雇用調整助成金との関係2】
    雇用調整助成金と支援金・給付金の どちらを利用したら良いですか。

 <回答>

  • 支援金・給付金は事業主の指示により休業しており、休業手当、賃金を受け取ることができない労働者の方の生活の安定及び保護の観点から直接申請が可能な制度として創設されたものです。

    一方、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、労働基準法上、休業手当の支払義務が生じることとなり、支援金・給付金の支払いにより、休業手当の支払義務が免除されるものではありません。
     
    労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金が、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われます。

    こうしたことも踏まえ、事業主の皆様には、まずは雇用調整助成金を活用いただき、雇用維持が図られるよう努めていただくようお願いします。また、申請にあたっては、基本的には「会社の証明」が必要になります。

「会社の証明」について賛否がありますが、政府の立場だけでなく、不正受給を防ぐ観点からも、当然、「会社の最低限の証明」は必要になると思います。仮に、「会社の証明」もないようなザル制度であれば、それこそ、国民が黙っていないと思います。

また、「支援金・給付金の対象者」についても、Q&Aが出ています。

  • 【②対象労働者、対象事業主】
    支援金・給付金の対象者は誰ですか。

 <回答>

  • 事業主の指示により休業し当該休業に対して、休業手当が受けられない中小事業主に雇用される労働者が対象です。

大手企業の労働者は対象外です。「休業手当が受けられない」という解釈が重要だと感じています。そもそも休業手当は使用者の責に帰する事由でない場合、支給しなくても良いのです。

当然、休業手当が支給されなければ、雇用調整助成金はありません。緊急事態宣言や休業要請は法律上、当然のように支払い義務がなくなるわけではないということはありません。休業回避の努力義務が必要です。休業手当の支給を巡り、個別的に取り扱う高度な労務の対応になっていることが多いのです。

今回の「支援金・給付金」で会社が労働者に休業手当を支給していない旨の証明を出せば、労働基準法違反に抵触していると会社の方が認めているのと同義だとの意見もあります。

「支援金・給付金」の申請書に、下記の欄もあれば良かったのにと感じていました。

  • 労使で話し合い、使用者の責に帰する事由がないと
    最終的に経営判断したため、休業手当の支給はせず。

『会社が雇用調整助成金を申請してくれない』との報道が多くなっていますが、現場では下記のようなことも少なくありません。

  • 会社が労働者の雇用継続を図り、関連グループ企業の応援や他の業務を検討しても、そもそも雇用契約の業務内容が異なるとして会社都合の休業扱いで休業手当の支給を望み、雇用調整助成金の申請を希望すること。

長期の期間にわたり一斉休業となれば、高額な金額が動く雇用調整助成金。高額な助成金申請です。不正受給を防止する観点から一定限の証明を求めるのは当然。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」も、あと、もうひとひねりのさじ加減の対応で、使い勝手が良い制度になると感じています。

「支援金・給付金」事務は労働局が集中的に処理し、相談はコールセンターで対応します。雇用調整助成金の業務を抱えるハローワークとの分担を明確にする狙いがあるようです。

ちなみに、今回の「支援金・給付金」について、労働基準法違反での調査などで、労働基準監督署の立ち位置や対応は、まだ、決まっていないそうです。

作成日:2020年7月8日 屋根裏の労務士

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