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「信頼感のオーラ!」

日本が、ワールドカップで、決勝トーナメントに進出しました。開催前の悪評や予想を覆す活躍です。私は、学生時代、ラグビーをやっていました。同じフィールドスポーツですが、実は、各種戦術などは見ていても、よくわかりません。それでも、ワールドカップという大きな大会のゲームは、見ていて興奮してきます。

有名選手の名前と顔ぐらいしか、サッカーを分らない私ですが、大会前の辛辣な批評や日本の世界ランクや実力ぐらいは、分かっていました。大会前、日本のサッカーに冬の時代が当分続くと言われていました。Jリーグは赤字運営のチームがほとんどで、日本チームは弱くサッカー熱は冷めてきています。経済同様にサッカーでも中国が実力をあげており、次回開催のブラジル大会では、日本のワールドカップへの出場自体も危ない状況と言われていました。加えて、アジアの進出枠も減らされるかもしれないと聞いています。何より、日本チームの大黒柱の中田英寿が引退し、存在感ある選手がいないことです。

日韓ワールドカップのとき、中田は25歳でした。私は、25歳の中田をテレビでみたとき、とても25歳には思えませんでした。サッカーのプレーや発言は、もちろんですが、その見た目です。25歳の中田の顔つきは、25歳の若者の顔つきでなく、大人の顔つきだったと思います。中田の顔つきは、単に、大人びたクールな言動や立ち振る舞いから、漂わせる雰囲気から生まれるものではなかったと思います。「強い責任」と「強い使命感」を背負い、「高い目標」を目指すことから生まれる周囲が「信頼を感じるオーラ」だったのではないかと思います。

中田の引退後、彼のような選手は、なかなか出ないと思っていました。サッカーの技術だけでなく、精神的な支柱でもあり、10年に1人の天才だと思います。今回のワールドカップで、本田圭祐というエースが誕生しました。ワールドカップ大会前に、中田と本田の対談がテレビで放送されていました。新旧二人の天才の対談には、ビジネス・人生においも各種のヒントがありました。二人の新旧の天才は、サッカーの「日本の技術」について、次のように語っていました。

まず、本田が次の発言をしました。
「日本の技術は、高くなったと言われるが、一体、技術とは何なのか?」

それを受けて、中田は次のようにコメントしています。
「練習での技術は高くなった。世界でトップクラスのはず。」
「しかし、試合での技術は低い。」
「それは、メンタルなのか、状況判断なのか、各種色々あるが、練習ではできることが試合では出せない。」

中田は、ワールドカップで、日本チームが4年前より、「メンタルや姿勢」がどのように変わったのかを見たいと言っていました。デンマーク戦での日本チームは、引き分け狙いではなく、終始、「前へ前へと向かう姿勢」がありました。泥臭い弱者のサッカーの中に、ワールドクラスの技術もたくさんあったと思います。練習での高い技術が、試合でもたくさん出ていたのではないかと思います。

試合後、お祭り騒ぎの日本列島に、本田は「嬉しいけど思った以上に喜べない。」とコメントしました。本田の目標は、あくまでも優勝だと言うことです。現役時代、中田も常に目標は優勝と言っていました。海を渡り、海外に単身で乗り込んでいくというのは、サッカーの技術を向上させる以上に、精神面を成長させるのだと思います。ビックマウスと言われ続けた本田は、現在、24歳です。フィジカル面だけでなく、メンタル面でも逞しさを感じてきました。本田の発言は、まるで、ワンピースの主人公・ルフィが、「俺は海賊王になる男だ。」と高らかに野望を言いきっている姿のようでした。

昨今、「草食系男子」、「海外留学をしたがらない学生」、「海外に行かない日本企業」など内向き志向の日本が、頻繁に取り上げられています。サッカーやビジネスだけでなくあらゆる分野で「技術」や「ノウハウ」をてっとり早く手に入れることは、以前よりずっと簡単になったと思います。

「サッカーの練習」と同様に、多くの分野で机上での技術やノウハウは、以前よりずっと高くなっていると思うのです。しかし、それをビジネスなどの本番で、活かせるのは難しく人材育成につなげることも難しい。その理由は、メンタルを鍛える修羅場から逃げていたり、その場が甘くなっていたりするからだと思うのです。
メンタル面での逞しさを培うためには、リスクを背負い数々の修羅場を潜り抜けるしかありません。自ら、リスクと責任を背負い、使命感のある者には、「信頼を感じるオーラ」が身につくのだと思います。

作成日:2010年6月28日 屋根裏の労務士

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